News

HOME > News > [ニュース]終末時計が過去最短「残り89秒」—核戦争や気候変動リスクが深刻化

[ニュース]終末時計が過去最短「残り89秒」—核戦争や気候変動リスクが深刻化

2025.02.06

終末時計が過去最短「残り89秒」—核戦争や気候変動リスクが深刻化

2025年版の「終末時計」の時刻が「残り89秒」となり、過去最短を更新しました。米誌『原子力科学者会報(BAS)』が1月28日に発表し、核戦争のリスクや気候変動、人工知能(AI)の兵器利用が危機的状況を引き起こしていると警鐘を鳴らしています。

核戦争のリスクが増大—ウクライナ侵攻の影響

終末時計の時刻は、著名な科学者らによる「科学安全保障委員会(SASB)」が、過去1年間の世界情勢を評価し決定しています。BASは、ロシアのウクライナ侵攻が3年目を迎え、核戦争につながるリスクが高まっていると指摘。偶発的な核使用の危険性が増し、核管理プロセスが崩壊しつつあると警告しました。

気候変動の深刻化—温室効果ガスの排出増加

気候変動については「地球の平均気温が過去最高を更新し、熱波、洪水、干ばつなどの影響が世界中に広がっている」とBASは報告。温室効果ガスの排出量は減るどころか増加し、長期的な解決策が見えていないことを問題視しています。

AIの兵器利用と偽情報拡散

ウクライナや中東の戦争において、AIが軍事目標の選定に使用されていることも懸念事項として挙げられました。また、AI技術の発展により、偽情報や陰謀論が拡散し、社会の分断を助長している点も問題視されています。

世界的リスクへの対応が急務

SASB委員長であるシカゴ大学のダニエル・ホルツ教授は「各国の指導者は、手遅れになる前に対策を講じるべきだ」と訴えました。

さらに、ワシントンで開かれた記者会見では、2016年のノーベル平和賞受賞者であるコロンビアのフアン・マヌエル・サントス元大統領が「広島、長崎への原爆投下から80年が経過したが、核戦争の脅威は過去最高レベルにある」と発言。加えて、トランプ前米大統領がパリ協定から再脱退する意向を示したことに対し、強い懸念を示しました。

終末時計の歴史—「残り17分」から「残り89秒」へ

終末時計は、1945年にマンハッタン計画の科学者らが創刊したBASによって1947年に初めて公表されました。当初は「午前0時まで残り7分」でしたが、冷戦終結後の1991年には「残り17分」まで針が戻りました。しかし近年、核兵器のリスク増大や気候変動問題の深刻化により、時刻は短縮され続けています。

2025年版の「残り89秒」という時刻は、今後の人類存続に関わる重大なメッセージです。各国の指導者が危機意識を持ち、早急な対策を講じることが求められています。

 

PageTop