[ニュース]知床携帯基地局整備計画、環境配慮で一時中止:今後の進展に注目
2024.10.23
知床携帯基地局整備計画、環境配慮で一時中止:今後の進展に注目
2024年10月11日、世界自然遺産である知床半島(北海道斜里町、羅臼町)における携帯電話基地局整備計画が一時中止となる方針が発表されました。
この計画は、通信圏外エリアの解消を目的として進められていたもので、知床半島先端部への基地局設置を含むものでした。
しかし、環境への影響や地元住民からの反対の声を受け、国や関係機関が改めて計画を見直す決定を下しました。
知床岬での基地局整備、環境影響が懸念
計画では、知床岬灯台にアンテナを設置し、7000平方メートルに及ぶ太陽光パネルの設置が予定されていました。
しかし、希少な猛禽類であるオジロワシの生息域への影響が懸念されており、自然保護団体や地元住民からの反発を受けていました。さらに、オジロワシがかつて営巣していた木が基地局予定地の近くに発見されたことが、環境調査を求める声を強める要因となりました。
事業の背景:通信環境の改善と安全確保の必要性
今回の整備計画の発端は、2022年4月に発生した観光船沈没事故でした。
この事故では、通信手段が途絶えたことが被害拡大の一因となり、通信圏外エリアの解消が求められていました。
特に漁業者からの強い要望があり、通信環境の改善は安全確保の観点からも重要視されていました。
地元住民と町長の反応
整備計画の中止に対し、約4万8000筆の署名を集めた運動に参加した斜里町の住民は「自然を守るために多くの人が声を上げ、計画を見直すことができてよかった」と喜びの声を上げました。一方、整備を推進していた羅臼町の町長は「漁業者の安全を守るため、環境配慮を前提に整備計画の再推進を求めたい」と述べ、引き続き要望を続けていく考えを示しています。
今後の展開と環境への影響調査
知床半島の他のエリアでは、すでに一部の工事が進行中で、知床五湖や宇登呂灯台地区では整備が完了しています。
しかし、羅臼町のニカリウス地区では整備の遅れが見込まれており、今後の環境調査の結果や地元住民の合意を待ってから計画の進展が図られることとなります。
まとめ
知床半島での携帯基地局整備計画は、安全と環境保護のバランスが問われる重要な事業です。
環境影響調査が進められる中、今後の計画の行方に注目が集まります。
[参考]
毎日新聞:知床の携帯基地局整備「いったん中止」に 非公開会議で国が方針