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[ニュース]太陽光パネルのリサイクル義務化が進む―大量廃棄と環境破壊を防ぐための施策

2024.10.07

太陽光パネルのリサイクル義務化が進む―大量廃棄と環境破壊を防ぐための施策

政府は、太陽光パネルのリサイクルを義務化する方針を固めました。
2010年代後半から急増した太陽光パネルの耐用年数は20〜30年とされており、2030年代には大量の廃棄が見込まれています。このため、企業や団体にリサイクルの義務を課すことで、廃棄物の増加による環境負荷を軽減する狙いがあります。
リサイクルを怠り、廃棄や放置を行った場合には罰則の導入も検討されています。

環境省と経済産業省の取り組み

経済産業省と環境省は2024年9月に新たな有識者会議を設置し、年内に具体的なリサイクル方法や費用補助などの支援策を策定する予定です。これに基づき、2025年の通常国会に関連法案が提出される見込みです。

太陽光パネルの普及と問題点

東日本大震災以降、再生可能エネルギーとして太陽光発電が急速に普及しました。2022年度末時点で、国内導入量は8500万キロワットに達し、世界第3位の規模を誇ります。しかし、現行のリサイクル義務はなく、撤去後の太陽光パネルはほとんどが埋立処分されているのが現状です。特にシリコン製のパネルには鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれているため、環境への悪影響が懸念されています。

2030年代に増加する廃棄問題

太陽光パネルの耐用年数が終了する2030年代後半には、年間17万トン以上のパネルが廃棄されると予測されています。このままでは廃棄物処理における環境負荷が急増する可能性があり、早急な制度整備が求められています。政府は、リサイクル可能な素材であるガラスやシリコンの再利用促進を検討しており、有識者会議ではリサイクルしやすいパネル回収の具体策が議論される予定です。

国際的なリサイクル義務化の動向

海外では、欧州連合(EU)が2012年に太陽光パネルの回収・リサイクルを義務化しています。米国でも州ごとに規制が進んでおり、中国でもリサイクル規制の導入が検討されています。

新たな技術「ペロブスカイト太陽電池」の普及促進

日本では、太陽光パネルのリサイクル義務化とともに、新技術「ペロブスカイト太陽電池」の普及も後押しされています。
この電池は軽量で薄く、曲げられる特長を持ち、ビルの壁面や車の屋根など多様な場所に設置可能です。しかし、耐用年数が約10年と短いため、リサイクル費用の一部を補助し、持続可能なサイクルを構築する方針です。

さらに、この技術には日本産のヨウ素などが使用されており、経済安全保障の観点からも注目されています。コスト競争力のある中国製パネルに対抗し、日本発の技術が世界市場で優位に立つ可能性が高まっています。

 

[参考]
読売新聞:太陽光パネルのリサイクル義務化へ…大量廃棄と環境破壊を防止、日本発の薄型電池の普及も後押し

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