[ニュース]サンマの小型化が進行する可能性、栄養豊富なプランクトンの減少が影響か
2024.10.02
サンマの小型化が進行する可能性、栄養豊富なプランクトンの減少が影響か
海水温の上昇が、サンマの成長に大きな影響を与えている可能性がある。
北海道大学の山口篤准教授(浮遊生物学)を中心とする研究チームが、海水温の上昇によりサンマが栄養豊富なエサを得る機会が減少し、小型化が進む恐れがあるという研究結果を発表した。この研究は、2024年10月2日に国際学術誌「フロンティアズ・イン・マリン・サイエンス」の電子版で公開された。
海水温とプランクトンの関係
研究チームは2021年夏、北太平洋北部でサンマの主なエサとなるプランクトンを採集し、異なる水温条件で成長率を調査。
結果として、栄養価が低い動物プランクトンである「ユーカラヌス・ブンギ」や「メトリディア・パシフィカ」は、高水温の下で成長率が高まる一方で、栄養価が高くサンマにとって重要な「ネオカラヌス・プルムクルス」は高水温に弱く、成長率が最大98%も低下することが明らかになった。
サンマの栄養摂取機会の減少
サンマは水深20メートル以内の浅い場所で主にエサを摂取するが、海水温が上昇すると、ネオカラヌス・プルムクルスはより深い場所へ移動するため、サンマが十分な栄養を取れなくなる可能性がある。
このことがサンマの小型化の一因となると考えられている。
海洋熱波と地球温暖化の影響
北太平洋では近年、海水温が異常に高い状態が続く「海洋熱波」の発生が増加しており、この現象がサンマの小型化に寄与している可能性が指摘されている。
山口准教授は「地球温暖化が進むことで、今後さらに痩せて小さなサンマが増えると予想される」と語っている。
まとめ
サンマの小型化は、海水温の上昇と栄養豊富なプランクトンの減少が関係していると見られ、今後も温暖化の進行に伴い、その影響がますます顕著になることが予測されている。
これにより、サンマの漁獲量や品質にも変化が及ぶ可能性があり、さらなる調査が求められている。
[参考]
朝日新聞デジタル:サンマが痩せる恐れ 栄養価高いプランクトン、高水温苦手で減少か