[コラム]世界のゴミ問題とその取り組みに関して
2024.06.20
世界のゴミ問題とその取り組みに関して
はじめに
現代社会において、ゴミ問題は世界規模で深刻な課題となっています。
急速な都市化、人口増加、消費文化の広がりがゴミの量を増大させ、その処理方法に関する問題が浮き彫りになっています。
本コラムでは、世界のごみ問題の現状、各国の対応策をまとめました。下記を参考に私たちができることは何か、考えてみましょう。
世界のごみの量ランキング
まず、世界のごみ量ランキングについて見てみましょう。以下は、主要な国々の年間ごみ排出量のランキングです(2022年データ)。
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アメリカ合衆国
- 年間排出量: 約2億8,110万トン
- 出典: Global Waste Index 2022 (Sensoneo)。
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中国
- 年間排出量: 約2億900万トン
- 出典: Global Waste Management Outlook 2024 (UNEP – UN Environment Programme)。
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インド
- 年間排出量: 約1億6,400万トン
- 出典: DevelopmentAid (DevelopmentAid)。
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ブラジル
- 年間排出量: 約6,000万トン
- 出典: DevelopmentAid (DevelopmentAid)。
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インドネシア
- 年間排出量: 約6,200万トン
- 出典: DevelopmentAid (DevelopmentAid)。
これらの数値は、国ごとの人口や経済活動の規模を反映しています。アメリカと中国が特に高い数値を示していることがわかります。
各国のごみ問題とその対応
アメリカ合衆国
アメリカは、世界で最も多くのごみを排出する国です。広大な土地に埋立地を確保できるため、埋立処理が一般的ですが、リサイクル率の向上が急務です。サンフランシスコなどの都市では、ゼロウェイスト政策を導入し、2030年までに全ての廃棄物をリサイクルまたは堆肥化する目標を掲げています。
中国
中国は急速な経済成長に伴い、ごみの排出量が増加しています。特に電子廃棄物の問題が深刻であり、適切なリサイクルと処理が求められています。近年、中国政府は「ごみ分別条例」を導入し、都市部でのごみ分別を義務化しています。また、大規模な廃棄物発電プラントの建設も進めています。
インド
インドでは、急速な都市化と人口増加により、廃棄物管理が課題となっています。多くの都市で、ゴミの不法投棄が問題となっており、衛生問題も深刻です。しかし、最近では「Swachh Bharat Mission(クリーン・インディア・ミッション)」という全国的な清掃キャンペーンが展開され、ゴミ処理インフラの整備が進められています。
ブラジル
ブラジルでは、ごみの埋立処理が主流ですが、リサイクルの取り組みも進んでいます。特に、サンパウロ市ではリサイクルプログラムが拡充され、住民の協力を得ながらごみの分別収集が行われています。また、ブラジルは堆肥化技術の開発にも力を入れており、オーガニック廃棄物の再利用を推進しています。
インドネシア
インドネシアは、プラスチックごみの海洋投棄問題で注目されています。ジャカルタなどの都市部では、ごみの不法投棄が多く、環境汚染が深刻です。政府は、「プラスチックごみ削減ロードマップ」を策定し、2030年までにプラスチックごみを70%削減する目標を設定しています。また、地域社会の参加を促すリサイクルプログラムも実施されています。
日本のごみ問題とその対応
日本もごみ問題に直面しており、特にプラスチックごみの管理が重要課題となっています。
政府は「プラスチック資源循環戦略」を打ち出し、2030年までにプラスチックごみを25%削減する目標を掲げています。また、リサイクル技術の開発や企業の協力によるプラスチック削減の取り組みが進められています。
日本のごみ排出量(2022データ)
日本の2022年度におけるごみ排出量は、以下の通りです:
- 総排出量: 4,034万トン(2021年から1.5%減少)
- 一人当たりの排出量: 880グラム/日(2021年から1.1%減少)
- リサイクル率: 19.6%(2021年の19.9%から若干減少)
- 埋立ごみ: 337万トン(2021年から1.4%減少)
詳細については、以下のリンクからご確認ください。
ごみ問題解決に向けて
世界各国がごみ問題に取り組んでいますが、私たち個人にもできることがあります。以下は、私たちが日常生活で実践できるごみ削減の方法です。
- リサイクルの徹底: リサイクル可能なごみは、適切に分別してリサイクルしましょう。
- リユースの促進: 使い捨て製品の使用を控え、再利用できるものを選びましょう。
- コンポストの活用: 食品廃棄物をコンポスト化し、肥料として再利用することで、ごみの量を減らすことができます。
- 買い物の工夫: 不要な包装を避け、持参した袋や容器を使うことで、プラスチックごみを減らせます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は世界のゴミ問題や取り組みに関してまとめました、
ごみ問題は、私たち全員に関わる重要な課題です。各国の取り組みを参考にしながら、私たち一人一人が日常生活でできることを実践することで、持続可能な未来を築くことができます。
ごみ問題に対する意識を高め、行動を起こすことが、地球環境を守る第一歩となるでしょう。
アール・イー・ハヤシでは持続可能な社会を目指し、SDGs や5R等の環境活動に取り組んでいます。
ゴミに関するお困りごと等あれば、創業50年を超える当社の知識豊富なスタッフが、皆さんのお悩みを解決します。お気軽にお問い合わせください。
参考
- ゼロウェイストとは? 定義や背景、自治体や企業の取り組みを解説
- 中国で進むごみ分別改革とプラスチック規制(第二部)
- 廃棄物から電気を生み出す発電所 緑の景観や新鮮な空気など 市民にとってポジティブな環境を生み出す〈Waste To Energy キャンパス〉
- サンパウロ市(ブラジル)取り組み事例「交通政策、廃棄物政策、縁化政策など」
- インドネシアの政策概要, 環境省
- 「プラスチック資源循環戦略」について, 環境省
著者紹介
名前: 中林 一樹(なかばやし かずき)
プロフィール
2014年より株式会社アール・イー・ハヤシに入社。以降10年間、産業廃棄物管理のスペシャリストとして従事。
産業廃棄物の処理とリサイクルに関する豊富な経験を持ち、環境保護に対する深い知識と情熱を持っています。
現在も、株式会社アール・イー・ハヤシの管理部門で環境管理責任者として、日々業務に励んでいます。